緑川光
どこにでも舵を取れる自然体だから最近、ラクな状態で仕事ができています
緑川 光さんが教室に入ってくると2年生の黄色い声が飛び交い、甘く優しい第一声が囁かれるとさらにヒートアップ!学生たちがのぼせ上がるほど熱気ムンムンの1時間だったが、緑川さんの物腰は常に軽やか。その自然体の本当の意味を教えていただいた。

さじ加減を表現できる職人を目指し

<TSA市原理事長>(以下、市原)

ようこそお越しくださいました。


<緑川光>(以下、緑川)

よろしくお願いします。


<全員>

(歓声と拍手の嵐)


<市原>

すごい数の作品に出演されていますが、声優さんってどんな暮らしなんですか? いつもスケジュールが詰まっていて、家に帰えれば普通の人だけれど、それ以外は時間ごとにいろんなキャラクターを演じる役者ですよね。


<緑川>

実はそんなに線引きはしてません。最近はテクニックも身につけたし、いろんな役の引き出しもたくさんできたし。たぶん今、すごいラクな状態で仕事ができています。以前は必要以上に構えて緊張もしました。まぁ当然ですよね。ベテランの声優さんもいらっしゃるなかで、常に本番というものがあるから。でもだんだんと自然体でできるように。


<市原>

自然体を大切にしているんですね。


<緑川>

はい。もともと勉強することは好きだったので、声優についてもいろいろ研究しました。どうして芝居が安定するときと、そうじゃないときがあるのか、ずっと追い求めていたんですが、あるときにわかったんです。そこから随分ラクになりましたね。ただそのためには、発声を変えなくてはいけなかった。今まで聴いてくださっていた声質と変わってしまうけれど、息長くやるためには変えたほうがいい。ピッチャーじゃないですけれど、悩んだ末に、さりげなく、さりげなく、軌道修正をしました。僕は声の職人になりたいんです。ディレクターなり原作者の先生なり、その現場で一番偉い人が求める表現、微妙なさじ加減のできる職人になりたい。


<市原>

先ほど、この講演のテーマをご相談した時に「大丈夫です、お任せします」っておっしゃったでしょ。あれは経験が豊富だからかと思ったけれど、自然体だからなんですね。


<緑川>

どこにでも舵を取れるようにしています。


<市原>

ただその自然体も、過去の努力があってこそ。


<緑川>

もちろんそうですね。負けず嫌いなので、努力はします。チャレンジしないと何も始まらないし、何が出来ないのかも分からない。例え間違った方向に向かっていても、途中で気付けばいいんです。私は栃木出身なのでアクセントに苦労しました。そもそも関東だし、テレビも東京と変わらないし、なまっているなんて思いもよらなかったんです。でもナレーションの現場でアクセントが正しく言えなくて、帰されたこともありました。どうしても何がいけないのか分からなかったので、とりあえず丸暗記しようと!アクセント辞典にも終わりはあるしね。


<全員>

(大きなため息)


<緑川>

で、現場で指摘されたら英単語を覚えるようにノートに書き留めて、アクセント記号を隠して声に出し、体に叩き込んだ。4冊のアクセント辞典がボロボロになるころには「あー、こういうことなのか」とわかってきました。


<市原>

素晴らしい!


<緑川>

好きな世界に入ったからこそ辛くても続けられるんだと思います。意外に、好きなことをやっていると、嫌なことのほうが多いものなんですよね。でも壁を壊した時はものすごい嬉しい。その先に待っているものが幸せなことだから、また続けちゃうんですよね。


<市原>

そうかもしれませんね。では質問タイムにしましょう。


<学生>

海外イベントの雰囲気は?


<緑川>

自分の出演作が海外で人気らしい、というのは感じていたけれど想像以上でした。アニメファンは吹替え版ではなく日本語版を観ていて、この前、韓国のイベントでは通訳の方にブーイングがおこっていました。ほとんどの人が日本語を理解できるから、訳している時間がもったいないって。


<市原>

皆が想像する以上のことが海外でおこってるね。もはや漫画やアニメーションは日本のお家芸。誇りに思いたいです。


<学生>

聴いている側に語りかけるCDに出演されていますよね?


<緑川>

聴いたんですか?


<学生>

はい、良かったです。


<緑川>

どこが良かったんですか?


<学生>

言っていいですか…? 緑川さんはリップ音が上手いです!


<全員>

(爆笑)


<緑川>

チュッって音、意外と難しいんですよ。音ひとつにもこだわっているので、そう言ってくれると嬉しいです。ありがとう。


<学生>

オーディションを受ける事務所を決めないといけないんですが、どこが自分に合っているのか分からずに悩んでいます。緑川さんは、なぜ青二プロダクションさんに所属されたんですか?


<緑川>

声優という職業を知ったアニメの出演者に、青二の人が多かったから、ここに入ればそういう作品に出られるのかなって。僕の場合は子供じみた理由ですが、皆さんはこれから運命の選択をするのだから、納得するまで調べたほうがいいですよ。声優はたくさんいるけれど、どうせなら、皆に名前を覚えてもらったり、海外から呼んでもらえるぐらいのポジションで仕事をしたいですよね? そのためには、やっぱり底力が必要なので頑張ってください。早く売れて一緒にお仕事をしましょう。


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