GRADUATES
第一線で活躍する多くのTSAの卒業生たち
EARLY WING所属
桃河 りか
主な出演作アニメ
- 『不思議なソメラちゃん』天童雫
- 『三者三葉』薗部篠
- 『まめねこ』カメ
- 『誰ソ彼ホテル』塚原音子(主役)
- その他『温泉むすめ』野沢菜々 ほか
TSAの台本数は、売れっ子レベル!
舞台役者を目指して声優養成のTSAに!?
ー 入学時は、舞台役者志望と聞きました。
桃河 はい、そうなんです。演劇部や劇団に所属していた時期もあったけれど、高校卒業後は大学進学を考えていました。ただどうしても舞台のあの面白さが忘れられなくて、“最後の思い出作り”に岡山から上京し、芝居のワークショップへ。それがTSAの夏期講習でした。
ー 確かにTSAの夏期講習や春期講習は、演技、ボーカル、アテレコなどを行う芝居のワークショップですね。
桃河 無料で3日間もきっちりレッスンがあって、最終日には声優さんの特別講演も開かれて。一瞬にして「面白い!芝居をやりたい!」と火が付いちゃった。TSAの講師の先生には舞台役者の方、演出家の方もいらっしゃり、卒業生の進路先には劇団も!親を説得して上京しました。
ー 舞台役者を目指していた桃河さんにとって、声優養成のTSAのカリキュラムは満足のいくものだったのでしょうか?
桃河 「こんなに出来ないよー」と悲鳴を上げるほど、充実した内容でした。まずは芝居の基礎トレーニングを繰り返し、舞台の経験もたくさん積ませていただきました。脚本か ら学生が作り上げるT-1グランプリ、大きな劇場のステージに立つ卒業公演だけでなく、1年掛けてミュージカルに挑戦したり、授業ごとに台本があったり。常に何本もの台本を抱えて、まるで売れっ子の役者さん!当時はセリフを覚えるのに必死でしたが、今思うととても幸せなことでした。
ー 岡山ご出身で、標準語の習得も大変だった?
桃河
1年次の授業で「岡山には母音の無声化(*)がない」と聞いて、「エッー!」となりました。そこからのスタートだから大変。普段おしゃべりをしていても、アクセントを間違えるたびにクラスメイトが指摘してくれて。どうしても直せなかったのは、動物のフクロウ。友達から「ジャック・スパロウと同じだよ」とアドバイスをもらって「ジャック・フクロウ」と言ったら、スンナリ言えるように(笑)。これ、アクセントを覚えるコツです。そんなふうにみんなが、間違ったこと、気になったことをその場で言い合える、良き環境でした。苦労した方言ですが、岡山弁は今は武器。営業用のボイスサンプルに入れることもあります。
*「母音の無声化」とは、本来は声帯を振動させて発する有声音が、声帯を振動させない音になること。例えば草(Kusa)の(u)がそれに当たる。
ー 卒業後は声優の事務所に所属されました。
桃河 それも友人のお陰です。「せっかく個性的な声をしているんだから、まずは声優の世界に飛び込んでみたら?声優さんで舞台をやっている人もいるよ」と。なるほどと思って、学内オーディションで特待生合格をいただいたEARLY WINGに進みました。
お母さんとおじいちゃんの〝やかましい遺伝子〟に感謝
ー 事務所の審査も、作品に出演するのも、常にオーディションがついてまわりますね。
桃河 アニメ『不思議なソメラちゃん』のスタッフさんと食事をご一緒した時に、オーディションではキャラクターたちのバランスも見るというお話しを伺いました。メインキャ ラクターの方を決めてから、周りはバランスを見て検討をする。「だから運もあるよ」と。つまり正解はないんです。模索しながらやっ ていけば、ご縁がつながることもあるし、ダメなこともある。TSAでも同じ経験をしました。オーディションでT-1の司会に選ばれたのに、卒業公演の司会は落ちてしまい、芝居も上手くいかず伸び悩んだことも。本当 にいいバランスでいろいろ経験させていただきました。
ー それにしても個性的な声で印象に残りますね。
桃河 自分の声が好きじゃない時期もありましたが、声優のお仕事をいただき、皆さんに覚えてもらえるのは、“ヘンな声”のお陰。やかましいお母さんとおじいちゃんの遺伝子に感謝です(笑)。
※主な出演作は2018年5月の情報、インタビューは2016年に行われたものです。