GRADUATES
第一線で活躍する多くのTSAの卒業生たち
大沢事務所所属
石上 静香
主な出演作アニメ
- 『魔法陣グルグル』ニケ(主役)
- 『トミカ絆合体 アースグランナー』駆動ライガ(主役)
- 『トライブクルクル』飛竜ハネル(主役)
- 『鬼滅の刃 遊郭編』まきを
- 『食戟のソーマ』水戸郁魅
- 『多田くんは恋をしない』長谷川日向子
- 『ダーリン・イン・ザ・フランキス』イクノ
- 『86-エイティシックス-』レッカ・リン
- 『虹色デイズ』浅井幸子
- 『パウ・パトロール』チェイス(主役)
演技初心者でTSAヘ、そこは新鮮な未知の世界でした
声優は、喜怒哀楽の感動を届けられる仕事
ー アニメ『トミカ絆合体 アースグランナー』駆動ライガなど日曜朝放送の男の子キャラクターから、『鬼滅の刃 遊郭編』まきをなど大人の女性キャラクターまで、幅広く演じられています。
石上 実は演じるときは、性別は全く意識していないんです。そのキャラクターのことだけを考えています。アニメ『ヴィンランド・サガ』主人公の男の子トルフィン(幼少期)も、彼の気持ちを代弁して演技をしただけ。ただオーディションの時は、「この役が取れなかったら男の子役の路線はなくなる」ぐらいの気合いで臨みました。こんなにも等身大のリアリティある作品のアニメ化って、そうはないだろうから「誰にも演じさせたくない」気持ちが強くて。監督さんから「石上さん一択でした。こんなに頑張ってくれたんだから、この作品、頑張らないと」と言われて驚きました。もちろん原作やキャラクターありきだけれど、声優の表現で、監督の心まで動かしてしまうのはすごいことだなと。作品を観た方から「感動した」「楽しかった」といただく声も、大きな喜びです。私自身、アニメやゲームで勇気とか元気とか楽しいとか悲しいとか、いろんな感情を学んできたので、今、私が逆に伝える立場になり、またその先に声優を目指す人が出てくることは、本当に嬉しいことです。
ー デビュー作は?
石上 クレジットも載らない、3分ぐらいの短いアニメーションでした。10キャラクターぐらいあるのに、声優さんは数人しかいなくて、「あれ?」って。「石上さんは女性役を全部やってください」とその場で原稿を渡され、「現場って怖っ!」って思いました(笑)。今、考えると特殊なお仕事だったんですけどね。
ー 初のメインキャラクターは『健全ロボ ダイミダラー』の喜友名霧子ですね。
石上 ロボットアニメで女の子の主人公は珍しいので、業界の方に覚えていただけた作品かもしれません。台本の1ページ半、ずっと私だけがしゃべる回もあり、不安で、不安で。少しは寝ないと声がかすれるから1〜2時間横になって、家を出る直前まで練習して。現場はベテラン揃いでアットホーム。皆さんに育てていただきながら、無事に収録することができました。
永遠のライバルは“昨日の自分”
ー そもそも声優を目指して、TSAを選んだのはなぜですか?
石上 お芝居を一度もしたことがなかったので、急に事務所の養成所に行くよりも、専門的なところで月曜から金曜まで1週間丸々勉強して、向いてる・向いてない、出来る・出来ないを確かめたかったんです。専門学校であれば、履歴書にもちゃんと書けますしね。
ー TSAは、どんな学校でしたか?
石上 全部が新鮮で、未知の世界。声優になりたい人が大勢集まって、同じことを学んでいるけれど、例えば笑いの表現・泣きの表現は一人ひとり違う。逆にみんなが同じ解釈で演技をした時に、私だけが違う表現をしたことがあったのですが、講師の先生は「独自の世界観を演じられるのは素敵なことだから、その感性は大事にしていきなさい」と仰ってくださいました。他の人と考え方が違っても、間違えじゃないんだなって。その言葉は今も大切にしています。
ー クラスメイトの表現にも刺激を受けて、ご自身の表現も突き詰めて。
石上 「みんなで一緒に頑張ろう」という人がたくさんいる中で、私は、入学時から全員がライバル。「絶対、負けないかんなー!」って強い気持ちでした。歌が上手な子がいれば、どうすれば自分が追い付き、追い越せるのか、試行錯誤し切磋琢磨していました。後に、周囲と比べても意味がないと気付いてからは、永遠のライバルは“昨日の自分”。オーディションで役を取れなかったら、それは自分に負けたことだから。
ー 声優として何を大事にされていますか?
石上 今の業界と逆行しているかもしれませんが、私はずっと黒子でありたいと考えます。極力、石上静香という自分を見せない役者になりたい。キャラクターの後ろに、私を匂わせたくない。純粋に作品に没頭して欲しいんです。その気持ちは一生変わらないと思います。私自身、「○○さんがやっているキャラクターだ」という情報が先に入ってしまうと、作品に没入できなくなってしまうから。「石上さんが出ているから観ました」と言われることはとても嬉しいけれど、アニメを観る時、ゲームをする時は、私のことは忘れて作品の世界に浸ってね、と思っています。
ー 将来の夢は?
石上 生涯、声優を続けること。定年退職がないので、自分の声を出し続けることができて、自分の声を使いたいという方がいる限りは、声優をやっていきたいです。それほど魅力的なお仕事です。
※主な出演作は2022年4月の情報、インタビューは2022年3月に行われたものです。