エンターテイメント=観客を楽しませること

T-1 GRAND PRIX

T-1 GRAND PRIX

T-1 GRAND PRIXとは

演劇やミュージカル、ダンスや歌などのオリジナルパフォーマンスを行うとともに、脚本・キャスティング・音響・照明・幕の操作、舞台裏のサポートなどの裏方含めすべてを学生自身で作り上げるパフォーマンスの祭典です。
テーマは「エンターテインメント=観客を楽しませること」。
1年生の部、2年生の部に分かれ、日頃指導を受けている講師の先生方に審査していただき、上位3チームに「金賞」「銀賞」「銅賞」が授与されます!

point01
POINT 01
すべてを学生自身で作り上げるため
イベントや舞台創りの全体を学べる!
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POINT 02
現役声優などプロの講師からの審査が
演技力の向上につながる!

T-1 GRAND PRIX金賞チーム INTERVIEW

例年、秋に開催される一大イベント『T-1グランプリ』。
脚本・演出・衣裳・小道具・そして演出もすべてを学生だけで創るパフォーマンスの祭典だ。
ミッションは“観客を楽しませる”こと。
講師の先生たちが総合的に審査し、見事、金賞を獲得したチームに制作の舞台裏などをインタビューした。

1年生の部 金賞

劇団★Sphinx

『ペルソナリテ』

●出演者
栗田 陸、酒田 真拓、鈴木 はるな、髙橋 優美香、立野 聖奈、西潟 諒、藤本 英那
●ストーリー
“取り柄がなくごく普通な自分”に悩む女子大生が立ち寄った店では、個性を販売。生真面目・オタク・かっこつけたがりなど、そのキャラクターを試着すると女子大生に乗り移り動きまでシンクロする。自分の個性を売って新しい個性を手にしようとしたが、初めて自分を愛おしく思いとどまる物語。実は店長が、他界した愛する人と同じ個性を探している店だった。
●講評
いつも「作り手側の視点に立つように」と言っているが、その視点から練習量がしっかりと見えた。
誰しもが認める金。
指先まで動きが
シンクロして圧巻!
1人ひとりの個性を膨らませて、
キャラクターを創造
tsa tsa
──7人のメンバーはどのようにして集まったのでしょうか?

鈴木先生がパソコンに用意したくじ引きで、無作為に決定。入学して間もない5月か6月ぐらいで、話したこともない、名前だけ知っているという人も……。「脚本は私にやらせて!」と立候補し、構成を書いて、みんなの同意を得ました。個性が強そうなメンバーだったから、キャラクターをテーマに。

──演目の『ペルソナリテ』とはどういう意味ですか?

藤本「日本語じゃない、かっこいい言葉にしたいね」となって、いろんな国の“個性”という言葉を調べてみました。決まったのがイタリア語です。

──劇中には、まさにいろんな個性が登場しました。

鈴木一人一人の個性を盛った感じです。栗田君は見た目がオタクで、西潟くんはキラキラのかっこつけたがり、髙橋さんはかまってちゃん、藤本さんは関西出身でドMな性格。

栗田・西潟・髙橋・藤本おいおい(笑)。

立野私なんて最初は「五寸釘を売っているような声」と言われて、“彼にフラれて呪ってやる”キャラ(笑)。でも、なかなか面白くできなくて、改めて鈴木さんが私を深掘りしてくれたんです。ちょうど夏休みだったんですが「7月中に課題を終わらすなんて、そう、あなたは真面目だ!」ということで生真面目キャラに変更。そこからキャラクターを立たせることができました。

鈴木唯一、店長役の酒田君は普段とは真逆で一番頑張りました。

酒田普段の僕は活発で、お調子者というか……。

全員逆だろー(笑)。

酒田実は、授業でも一番には手を挙げられないタイプ。自分が持ってないものを演じることが難しくて、今日の本番を迎えるまで時間が掛かりました。

──それでも、全員がキャラクター豊かで、それぞれにはまっていました。動きもシンクロして、練習量の多さを感じました。
チームワークよく
みんなで創り上げた舞台
──高校演劇経験者もいますが、初舞台の人もいますね?

立野私は観劇が大好きですが、自分が舞台に立つのは初めて。制作過程で自分のアイデアが採用されると嬉しかった。本番はフワフワした感覚でしたが、意外に周りもよく見えて、考えつつできました。

西潟僕は、最初はちゃんと完成するのだろうか……という心配がありました。脚本をもらってから、何だかがむしゃらにやった感じです。

栗田舞台では、ずっと心臓が痛くて気分が悪くなったぐらい。オタクの人って生で見たことがなくてイメージだけでつくり上げたから、本当にできているか不安だったし……。

全員できていたよ。

栗田うん……。練習中に他のチームから「キモイ」と言われ複雑な気持ちもあったんだけど(笑)。

酒田僕は台詞が飛んでしまって……。練習ではスラスラと言えていた台詞が「あっ、何だっけ?」って。

── そうそう、一瞬の間がありました。

酒田泣いて、みんなに謝って、立ち去ろうと思ったぐらい。

全員やめてー!

酒田でも諦めなくて良かった。頭の中で詠唱して出てきました。

藤本舞台でいっぱいいっぱいになった時に、頼れるのは仲間と一緒に練習してきた時間だと実感しました。

鈴木最初は名前しか知らなかった人だったのが仲良くなって、みんなでタピオカを食べに行ったりもしたね。

── コミュニケーションを重ねて、練習を繰り返した成果だったんですね。おめでとうございました。

2年生の部 金賞

Royal.P.F.

『下着物語』

●出演者
大和田 真衣、神山 光利、坂本 七海、清水 翔子、白畑 龍香、田中 海都、田部 祐理香、二木 康介
●ストーリー
とある王国の王女様のダーリンを決めるのは、なんとパンツ! お城には次々と男性が自慢のパンツを持ち込んで、王女様に披露。選ばれし男性が持ってきたのは、国で御法度とされていた“スケスケパンツ♡”。実は王女様は、パンツではなくその男性の声に惚れていたという、コメディ全開の物語。
●講評
お客さんが「見ていて楽しい!」に徹底していた作品。思わず体が震えてしまった。
奇想天外なコメディに
審査員も大爆笑!
物語の原点は、
授業中のふとしたエピソード
tsa tsa
──下着をモチーフにしたコメディの発想の原点は?

田部私が「あの授業に出てきたパンツの話をやらない?」と提案したら、すっと決まって。

坂本そのパンツ、私が張本人なんです。名前を書いた紙をくじ引きして発表する授業があり、みんなはシャーペンで書いたんですが私だけカラーペンで書いたから名前が表にも丸見え。「スケスケじゃん」と笑われ、とうとう“スケパン”なんてあだ名まで付けられて。

田部坂本さんが同じチームなら、このエッセンスを取り入れたいと思いました。実はナレーションの先生に、「次のT-1はこんなのやりたい」と話していて、パンツテーマに決まったと報告したら、「わぁ〜それ楽しい!」と。「でもテーマがテーマだから金賞は狙えないですね」と言ったら、「賞獲りじゃなく、観客を楽しませるのが目標。自分たちがやりたい、表現したものが伝わればいいじゃない」とおっしゃっていただき、スイッチが入りました。

清水その先生が審査員席で大ウケしてくれて、もう賞はいらないと思ったよね。

──ところが金賞に!

白畑まさかパンツで獲れるとは!?

清水発表されたらステージに行かなくちゃいけないのに、誰も立ち上がらなくて。「みんな固まっているな」って、自分も固まりながら思っていました。

全員(笑)

初舞台は不安、緊張……。
頼れるのは“仲間との練習量”
──脚本はどうやっておこしましたか?

田部みんなと大筋を確認してから、まず私が書いて。それから清水さんと2人で毎日のように放課後に残って、掘り下げて、修正して。

坂本読み合わせをしたら、起承転結が少しおかしいように感じて「増やしていい?」と、私も手を加えさせてもらったんです。

清水そのお陰で伏線ができて、ラストシーンがしっかり落ちました。

田部意見をどんどん出し合うチームでした。白畑さんは、私と二木君がお笑い芸人のネタを真似て踊るシーンについて「もっと面白くできる!」と。

白畑最初は二木君のキレが悪かったので姿勢を直し、2人のリズムもずれていたから特訓して。他のシーンでも動きの指導とかさせてもらって……うん、みんな受け入れてくれてありがとう。

全員いやいや、こっちこそ!

大和田私は“チャラい男性”役だったんですが、どうしたらいいのか分からなくて。

白畑私のアドバイスの仕方が悪くてなかなか伝えきることができず、他の人に代弁してもらったら見違えるほどに変わって。

全員うんうん。

大和田姿勢、肩の開き方、歩幅や歩くスピードを教わったんです。私は高校演劇からやっていますが、役について一人で自己解釈する傾向が。でも今回「演技ってみんなで作っていくものなんだな」と、あらためて思いました。

白畑私も代弁してくれる人がいて発見が。自分の考えを言うだけじゃなく、相手が自ら考え直すようにするにはどうすればいいのかを、考えるように。

──夏休みはずいぶん練習したのでしょうか?

坂本地方の人もいるし、2年生なので養成所見学に行く予定もあるし、なかなか時間が合わせられなくて。

清水だからこそ「今回はこの一場面を集中してやろう」と課題を立てて、貴重な時間を濃密なものにしました。

──本番はどうでしたか?

二木踊っていたらカツラがずれてしまい、一瞬焦ったけれど、いい意味でそこからふっきれました。今年は舞台の中で、自分をコントロールできるようになりました。

田中幕裏でみんなジャンプしたり踊ったり。それ見て、少し緊張がほぐれました(笑)。審査員の先生や観客の1年生が笑ってくれたことも感謝です。

二木そう、みんなのお陰だな。

田中演技経験ゼロで入学し、1年目は回りの意見に流されてしまって。でもこのチームは自分の意見を聞いてくれるから、自分の中に余裕もできて、相手の台詞も耳に入ってきて。このチームで良かったよ。

全員おぉ〜(拍手)。

神山私も昨年と今年では変化がありました。台詞は少ないけれど、言葉を発しない場面で、表情の演技をすることを学びました。

白畑先生は「台詞を発していない人の演技を見なさい」って、言うもんね。

田部私も苦手なコメディに挑戦し、自分の殻を破りたかったのでいい経験に。代々の先輩が「T-1で成長した」とよくおっしゃるんですが、それは、めちゃめちゃ衝突もするけど“言い合える場”だからだと思うんです。

──大爆笑の裏にもいろんな物語がありましたね。金賞、おめでとうございます!