GRADUATES

第一線で活躍する多くのTSAの卒業生たち

小堀 幸

賢プロダクション所属
小堀 幸

主な出演作
アニメ
  • 『ハピネスチャージプリキュア!』ぐらさん
  • 『響け!ユーフォニアム』長瀬梨子
  • 『Free!』橘蘭
  • 『アイカツ!』青木ひなた
  • 『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』サリファ
吹替え
  • 『THIS IS US 36歳、これから』アニー・ピアソン ほか

「普通でいいんだよ」。先生の言葉に救われて

もしTSAの学生に戻れたら手を上げて失敗を繰り返す

今だから思う、TSA時代にやっておけばよかったと思うことは?

小堀 早朝や放課後、授業時間外も自由に使えた教室で、声出しなどもっと自主練習しておけばよかったなと思います。今、声出しはご近所迷惑にならないようカラオケでやります。学生時代は、いつでもタダで練習ができたのに、恵まれていることにも気づかず、もったいないことをしました。

もっとありそうですね。今、TSAの学生に戻れたらやりたいこと。

小堀 もし学生に戻れたらですか?どんどん手を挙げて、じゃんじゃん失敗して、先生方のご指導をたくさん仰ぎたいです。学生当 時の私は、授業の課題に万全の準備で臨んでもなかなか手を挙げられない内気な学生でした。それに、先生に演技を見ていただく機会をもらっても、平均点より少し上でこなしてしまうんです。

それがなぜダメなんでしょう?

小堀 思い切り失敗しないと気づけないこと、得られないことがあります。失敗して気づいて初めて“引き出し”ができる。学生時代にそうやって増やした引き出しを一つひとつ開けていくのが声優の仕事です。仕事で失敗はできません。失敗は学生の特権。学生のうちに失敗を繰り返して、先生にダメ出しをたくさんもらって、必要な時に引き出せる答えを増やしておいた方がいいですね。

授業中、先生に言われたことで印象に残っているのは?

小堀 田村連先生に「普通でいいんだよ」と言われたことです。声にもキャラクターにも個性がないことが、ずっとコンプレックスで した。前に出る自信が持てなかったのも普通だったから。ところが、「個性は人が認めるもので、自分では分からないもの。どんなに個性的な人も、本人にとってはそれが普通なんだから」と田村先生に言われて楽になりました。自分に色をつけようと無理に装うことをやめ、素直に演じることができるようになったんです。

仕事を通して分かった小堀さんの個性はどんなものでしたか?

小堀 デビュー以来、幼児や人間以外の役を多くいただきます(笑)。田村先生のおっしゃったように、自分では気づけなかった個性が、私にもちゃんとありました。ジュニア所属になってから初めていただいた仕事もアニメ『ハピネスチャージプリキュア!』の妖精・ぐらさんです。

この世界を信じて疑わない子どもたちに夢を届けたい

学生時代から子ども向けのアニメをやるのが夢だったんですよね?

小堀 はい。子どもはアニメの世界が本当にあると信じていて、その世界にとっぷり浸かって友情や正義を学びます。私も役を通して子どもたちにいろんな思いを伝えたい。一度、『ハピネスチャージプリキュア!』の子ども向けイベントに、こっそり遊びに行ったことがあるんです。スクリーンでプリキュアが戦うシーンになると、司会のお姉さんが「みんなで応援しようね」と言うより先に、子ども たちが「がんばれー!」って顔を真っ赤にして応援していて。子どもたちの信じるこの世界に、私もいるんだと思ったら...今、思い出しただけでも感動して泣けてきてしまいます。

今後の目標を教えてください。

小堀 子ども向けアニメの主役です。名前のない役やたとえモブ(群衆役)だって、物語の中に“自然と居る”ことができる人はいて、そういう人には必ず大きなチャンスが巡ってくると信じています。現場に入ってモブが必要となったら「やります!」と率先して手を挙げます。学生時代にはできなかった前に出る姿勢でチャンスをつかんで、子どもたちに「がんばれー!」って応援してもらえるようなアニメの主人公をやってみたいです。

※主な出演作は2018年5月の情報、インタビューは2016年に行われたものです。